日本の伝統色の名前が付けられたクラスネームとその伝統色を再現した陶器の室名プレート(作:我妻珠美)
光を受けて輝くモビールや陶製のレリーフ(作:我妻珠美)
ガラス面に描かれたイラスト(作:マリーニ*モンティーニー)
「子供たちの生活を機能空間で分節するのではなく、連続した時間の中で捉えること」
これがこの保育園のテーマです。
保育園に限らず、ほとんどの建築は機能によって空間が構成されています。
保育園も同様で、遊ぶ・食べる・排泄する・眠るといった子供たちの生活は
諸室の機能によって分節されています。
私達がめざしたのは、子供たちの生活を連続した時間でとらえた空間づくりであり
そこに配したアートワークが連動する新たな保育園の提案です。
壁と天井の境なく木の羽目板で仕上げられたトンネル状の空間を並べ
それらを大小のアーチ型の開口が繋ぐことによって生まれる建築は
一般的な「部屋」のイメージから遠く離れています。
空間形状の特殊性から子供たちは
地下の都市・潜水艦の中・水の中・雲の中と独自の空間イメージを膨らませ
アーチを通って空間を行きかい、天窓からの光の変化に「自ら気付き」
お気に入りの場所を見つけて時間を過します。
さらに、光を受けて輝くモビールや陶製のレリーフを空間に配し
ガラスのパーティションにはイラストを描きました。
園児たちは、アートの意味を考え、自分なりのモビールを追加したり
イラストの木に紙で作った葉っぱを貼り付けていくでしょう。
それはアートワークとトンネル状の連続した空間がつくる、新たな保育環境です。
photo : 車田保、百井謙子